はじめに
最近の半導体ニュースを見ていると、 「中国は最先端を諦めたのか?」 「アメリカはなぜここまで規制するのか?」 と疑問に思う人も多いはずです。
この記事では、半導体の知識がまったくない人でも理解できるように、 中国と米国の半導体戦略を一本のストーリーとして整理します。
そもそも半導体は何が難しいのか
半導体は大きく分けると、次の流れで作られます。
- 設計(どんな回路にするか考える)
- 製造(工場で実際に作る)
- 装置・材料(作るための機械や材料)
- ソフトウェア(EDA)(設計図を書くための専用ソフト)
このすべてが揃って、初めて最先端半導体が作れます。
中国が「最先端」から距離を置き始めた理由
結論から言うと、 中国は最先端半導体の自国開発が極めて難しい状況に追い込まれています。
理由はアメリカの規制です。
なぜ規制が効くのか
- 最先端の設計ソフト(EDA)はアメリカ企業がほぼ独占
- 製造装置も米国・日本・オランダが握っている
- それらの輸出が制限されている
つまり中国は、 「設計図も書けない」「作る機械も買えない」 状態になりつつあります。
中国は「大量生産」を選んだ
中国は、最先端の半導体開発を「諦めた」わけではありません。
今は、勝ちやすい戦場を選び直したと言えます。
家電・EV・産業機械・通信機器などに使われる半導体は、性能よりも「安定供給」と「価格」が重要です。
ここで中国は強みを発揮します。
- 国内市場が非常に大きい
- 国の補助金で赤字でも生産を続けられる
- 同じ製品を何億個単位で作れる
つまり中国は、
「最高性能の半導体」ではなく
「社会を動かす数の半導体」を取りに行っているのです。
性能は多少劣っていても、
量産を通じて
- 製造ノウハウが溜まる
- 歩留まりが改善する
- 技術者が育つ
結果として、
時間をかけて技術力そのものが底上げされていく。
これは短期的には地味ですが、
長期的には非常に強い戦略です。
中国に対する規制が「過剰」に見える理由
アメリカの規制は、 一見するとやりすぎに見えます。
- 特定性能以上の半導体を禁止
- それを作る装置も禁止
- それを設計するソフトも禁止
ここまでやる理由は明確です。
「中国が技術力を高めるルートをすべて潰すため」です。
米国は何を守りたいのか
アメリカが最も重視しているのは、 半導体の“設計”です。
- NVIDIA
- AMD
- Apple
これらはすべてアメリカ企業です。
設計を握っていれば、 製造は同盟国(台湾・日本・韓国)に任せても主導権は失いません。
米国は製造まで自国でやるのか
「中国のように全部自国で回すのか?」という疑問もありますが、 現実的には限定的です。
- 人件費が高い
- 製造は超装置産業
- 同盟国との分業の方が合理的
そのためアメリカは、 最先端設計+同盟国製造という形を維持しようとしています。
中国はどれくらい恐れられているのか
結論として、 中国は「今」ではなく「将来」を恐れられています。
- 国家主導で資金投入できる
- 人材も市場も巨大
だからこそ、 「追いつく前に止める」という発想になります。
これからの両国の流れ
今後は次のような住み分けが進む可能性が高いです。
- 中国:
- 家電・自動車・産業用など量産型半導体
- 米国:
- AI・軍事・データセンター向け最先端半導体
世界は、 半導体でも完全に分断された構造へ進みつつあります。
まとめ
- 中国は最先端半導体を「諦めた」のではなく「封じられている」
- 米国は設計という最重要部分を握り続けたい
- 規制は中国の技術成長ルートを潰すため
- 今後は用途別に世界が分断されていく
半導体ニュースを見るときは、 性能や数字よりも「どの国が、設計・装置・製造のどの工程を誰が握っているか」を見ると、 一気に理解しやすくなります。


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