ソフトバンクグループ(SBG)が発表した2025年4〜12月期決算は、純利益3兆1726億円。前年同期比5倍、同期間として過去最高となった。
その原動力は明確だ。
米OpenAIへの出資に伴う評価益である。
しかし、これは単なる「AIブームの追い風」だけでは説明できない。
SBGがこの結果を出せた背景には、戦略転換と資本構造の変化がある。
なぜSBGは巨額利益を出せたのか
OpenAIへの超集中投資
SBGは累計346億ドルを投じ、OpenAIの約11%を保有。
評価額は544億ドルとされ、今回の決算では約2.8兆円の投資利益を計上した。
ポイントは、
テーマの選択が当たった
ことに尽きる。
生成AIは今や単なる技術トレンドではなく、
- 企業の業務基盤
- 国家戦略分野
- 半導体需要の牽引役
となっている。
AIへの資本集中が起きるなかで、SBGはその中心企業の一角を押さえた。
市場環境の改善
ビジョン・ファンド事業の投資利益は3.9兆円。
クーパンや滴滴出行などの株価上昇も寄与した。
ここで重要なのは、SBGの業績は
市場環境に強く連動する
という点だ。
金利の安定やハイテク株の回復が重なり、保有資産の評価が一斉に持ち直した。
レバレッジを活用した攻めの財務戦略
SBGは大型投資のために、
- Nvidia株売却
- ドイツテレコム株売却
- ARM株担保の借入枠拡大
- 自社株担保借入増額
を実行した。
これは守りではなく、
上昇するテーマに資本を集中させる戦略
である。
資産を担保にさらに投資を重ねることで、AI相場の上昇局面で利益が増幅された。
ただし利益の「質」はどうか
今回の利益の大半は評価益だ。
つまり、
- 現金が増えたわけではない
- 市場評価に依存する
という性質を持つ。
SBGは通信会社というより、
巨大テーマに賭ける投資会社
としての性格が一段と強まった。
今後の展開はどうなるか
今後は大きく3つのシナリオが考えられる。
AI成長が持続する場合(強気シナリオ)
- OpenAIの収益拡大
- 企業導入の本格化
- AIインフラ投資の継続
- ARMとのシナジー拡大
この場合、SBGの純資産価値(NAV)はさらに拡大し、株価再評価の余地が生まれる。
今回の決算は序章となる可能性がある。
AI期待が調整局面に入る場合(中立シナリオ)
- 収益成長はあるが期待ほどではない
- バリュエーション調整
- 金利再上昇
評価益は縮小し、SBG株は大きく変動する可能性がある。
レバレッジを活用している分、上にも下にも振れやすい。
AI熱狂が後退する場合(弱気シナリオ)
- AI関連株急落
- 投資評価損拡大
- 担保資産価値下落
この場合、再び財務防衛モードに入る可能性がある。
SBGはテーマ依存度が高い分、逆回転のリスクも抱える。
本質は「AIへの依存度」
今回の決算は、
SBGがAIを中核資産に据えたことの証明
でもある。
成功すれば歴史的投資。
失速すれば評価益は急減。
SBGの将来は、
- OpenAIの実収益
- AIの産業化速度
- 市場のリスク許容度
に大きく左右される。
まとめ
SBGが3兆円利益を出せた理由は、
- AIテーマへの集中投資
- 市場環境の改善
- レバレッジを活用した資本戦略
が同時に作用したためだ。
今後はAI成長の持続性が最大の焦点となる。
SBGは再び巨大テーマの中心に立った。
しかし同時に、そのテーマと運命を共有する立場にもなった。
次の決算が示すのは、AI革命の加速か、それとも熱狂の揺り戻しか。
市場はその行方を見極めようとしている。


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